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お医者さんから言われた後遺症をほぼ残すことなく復帰を遂げたオトン。
相変わらず頑固でヘンクツではあったけれど・・・
そんなある日、こんな事がありました。
あれは、私が焼き鳥屋でバイトしていた・・・18歳の時でした。
時々飲みに来ていたオトンでしたが、普段は会話もほとんどせず
他人のように振る舞ってました。
バイト時間も終わり、まかないをカウンターで食べてると、珍しくオトンが寄ってきて
「一緒に飲もう」と言い出したのです。
で、二人でお酒を酌み交わしはじめました。
(あ・・・未成年・・・ここはスルーでお願いします)
すると、なんの話からかオトンが言いました。
「いろいろすまんかったな~
お前は、わしと似てる所があって・・・何か見てて腹立つことも多くて
自分の気分や、感情だけで、しばいたり、しかったりしてた事が多かったと思うんや~
いろいろごめんな~」
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「は?どしたん?」
・・・・
「この前病気した時に、ほんまに死ぬかも・・・と思った。
三途の川も歩いたんやぞ!・・・ま、そのとき色々思ったんや~
・・・ま、ええか。飲も、飲も。」
・・・と、少し照れながら話を終わらせたオトンでした。
日本語というのは本当に難しいなと思うのだけれど・・・
親が子供に対してそういう感情をぶつけたりする事は、
本当に多々あるし、子供だってわかってる。
だけどそれを認めて子供に謝る親が、実際のところどれだけいるかと思ったら
この言葉を私に言ったオトンを、私はすごい人だな・・・と思ったのです。
その日を境にして、私はオトンを認める・・・というか許す・・・というか
オトンに対するそれまでもってた嫌な感情を、すべて捨てる事ができました。
会話をする事も増え、二人で飲みに行ったりする事も、よくするようになりました。
もちろん、時々は普通の親子喧嘩もしてましたが。
今も、この日のことは鮮明に心に残ってる事のひとつです。
それから10年後・・・
今度は、肺の痛みを訴えました。
続く