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先生から説明があった手術後の後遺症は
言語障害
記憶障害
下半身不随または麻痺
でした。
私が通っていた学校から病院は近かったため、私は毎日病院へ行きました。
意識はありませんが、時折、うう~ん・・・と唸ったり、暴れます。
相変わらず両手は縛られたまま。
そして手術から数日後、じ~っと心電図のモニターを見ているオトンに気付きました。
「お父さん?お父さん?わかる?」って何度も声をかけました。
でも、目はモニターに釘付け。もちろん返事もありません。
そして、縛られた手が何かを探しています・・・
ん?何?何がしたいのか?・・・と考えた。
あ!!!わかった!!!
リモコンだ!
テレビのリモコンを探してるんだ!!と思いました。
モニターをテレビと思ってるんだ!と思った私はベッドのリクライニングのリモコンを
手に渡してみました。
すると、それをモニターの方に向け必死で押そうとしている。
それを見た時
ひょっとしたら、後遺症とかないのかも・・・と、そんな気がしました。
それから数日はそんな事が続き、今度は寝ている時に、足を動かす動作が始まりました。
これも何かあると思った私、よ~く観察していてひらめいた。
あ!!!わかった!!
コタツだ!
コタツに足を入れようとしてるんだ!と・・・。
この人の記憶の中には日常生活がある。これまでの記憶がある!そう思ったら
なんだかとっても安心し、大丈夫!きっと、絶対大丈夫だ!・・・そんな気持ちになりました。
その後、意識が戻り、なんとなく家族の事もわかる。
ただ、どうしても欠けている記憶もある。言葉も少し変だった。
それから1ヶ月・・・
お医者さんも驚くほど、体にはほとんど後遺症もなく復活を遂げ退院する事ができた。
所々欠けた記憶、まだ十分ではない体力を取り戻すため田舎へ戻り
それから数ヶ月リハビリを兼ねて温泉を回ったりし、手術から半年後には
仕事にも復帰した。
元気になれば、やっぱり元のオトンであり・・・相変わらず愛想もくそもない
職人には変わりなかった。
口数は少ないが、威嚇する態度も相変わらずだった。
「コイツは殺しても死なないな・・・」と思う事もまたあったりもした。
だけどその後、私にとっては、
「この人誰だ?」と思うほど劇的に変わった部分がある事に気付いたのであった。
続く